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現代コリア、乱気流下の変容
2008-2023

【内容】
戦乱か、和平か?
危ういバランスで“休戦”状態が続く朝鮮半島──大国による「操作可能な混沌」の舞台となった南北両国家を、ロシアの碩学がパラレルに分析する。核と紛争の時代を読み解く鍵がここに。
統一の断念と紛争凍結モデル。

永年にわたって朝鮮半島は対決的な土地であり、乱高下してきたものの、しかも安定していた。この地球的に高まる大混乱のなか、きわどいバランスが揺さぶられないことを願いたい。(……)将来において何が起きるかは見守るしかない。未来を予測することは、過去をよく知ることによって「容易となる」。このような期待を込めて読者に本書を読んでいただきたいと願っている。(「日本語版序文」より)


【内容目次】 序文
日本語版への序文
第一部 二つのコリア――分岐する発展経路(二〇〇七〜二〇二〇)
第1章 北朝鮮─金正日時代の黄昏
 「王位継承」と政治権力の継続問題
 新指導者の登場
 社会経済状況─「過去を振り返る時」
第2章 北朝鮮での金正恩時代の始まり――政治統合
 新指導者と党内の陰謀
 権力の垂直的統制強化
第3章 金正恩時代の社会経済的な新思潮─密かな改革
 改革ごっこ
 併進――核戦力創設と経済発達を併せ進める
 戦時共産主義への回帰?
第4章 韓国における保守のリベンジ
 李明博の約束と現実
 抵抗、批判、権力側の反応
 「グローバル」戦略の移ろいやすい成功
第5章 「国父」の娘の破綻――朴槿恵政権下の韓国
 選挙前の期待と最初の歩み
 統治スタイルの批判
 外交政策
 下り坂――スキャンダル、国民の抗議
 イメージ・スキャンダルと弾劾
第6章 韓国でのリベラル派の復帰
 選挙綱領とその実施
 文在寅の仕事スタイル
 リベラルな外交路線
第7章 南北朝鮮関係――上昇と下降
 「リベラルな十年」から新冷戦へ――李明博政権時代の南北朝鮮問題の緊張
 朴槿恵時代の南北関係の危機
 南北朝鮮の「蜜月」
 幻滅の時

第二部 朝鮮半島の核・ミサイル問題、外交的解決の試み
第8章 北朝鮮の核・ミサイル計画――新事実
 金正恩登場以前の核・ミサイル分野の回顧
 新段階に至った核・ミサイル計画
第9章 北朝鮮の多国間・二国間外交─オバマ大統領・李明博との高まる反目
 六者協議の終焉
 対立への回帰と二国間交渉
第10章 対決の新段階─二〇一二〜二〇一七年
 外交の転換と圧力
 二〇一六〜一七年のエスカレーション――水爆とICBM
第11章 緩和と停滞─どちらが待ち受けているのか?
 北朝鮮と韓国、アメリカ関係における予期せぬ突破口
 外交的停滞と反動
 停滞する外交
第12章 六者協議――北東アジア集団安全保障システムの基盤
 安全保障制度の骨組みとしての六者協議
 安定の均衡――「大北太平洋プロジェクト」

第三部 ロシア外交と朝鮮
第13章 朝鮮半島問題へのロシアの政治路線
 概念的接近
 ロシアと朝鮮核問題――二〇〇〇年代後半の不活性化、立場の変容
 金正恩体制初期でのロシアの状況対応的なアプローチと、新しい接近法
 ロシアと思いがけない半島での雪解け
 対話停止に対するロシアの反応
 ロシアの北朝鮮への制裁参加─ジレンマと解決
第14章 金正恩の北朝鮮との、困難だが率直な対話
 二〇〇八年以降の関係の冷却化
 北朝鮮における権力交代以前の関係の安定化と向上
第15章 金正恩時代のロ朝関係─没落と高揚
 初期段階の曖昧さ
 二〇一四〜一五年の関係改善
 二〇一六〜一七年の当面する危機
 二〇一八年の予期せざる北朝鮮との緊張緩和
第16章 袋小路からの脱出の試み─北朝鮮との経済協力
 二〇一四年までの限定的な協力計画
 労働移動
 「ハサン―羅津」プロジェクト
 経済協力での隘路からの脱出の試み
 制裁期の停滞

結語
解題
文献一覧
終わりに


【著者・訳者略歴】
A・V・トルクノフ
(トルクノフ、アナトーリー・ワシリエヴィチ)1950年生まれ。国際政治学者、政治学博士。モスクワ国際関係大学学長、ロシア科学アカデミー会員、国連代表部で外交官として手腕を発揮。その後外務省付属大学に勤務。邦訳された著作に、『朝鮮戦争の謎と真実――金日成、スターリン、毛沢東の機密電報による』(草思社、2011年)、『現代朝鮮の興亡――ロシアから見た朝鮮半島現代史』( V・I・デニソフ、Vl・F・リとの共著、明石書店、2013年)、『日ロ関係史――パラレル・ヒストリーの挑戦』(D・V・ストレリツォフとの共編著、東京大学出版会、2015年)がある。

G・D・トロラヤ
(トロラヤ、ゲオルギー・ダビドヴィッチ)1956年生まれ。朝鮮担当外交官の後、東洋学を研究。モスクワ国際関係大学教授。

I・V・ディヤチコフ
(ディヤチコフ、イリヤ・ウラジミロビッチ)2011年よりモスクワ国際関係大学で日本・朝鮮の研究に従事。

下斗米伸夫(しもとまい・のぶお)
1948年生まれ。政治学者、法学博士。成蹊大学教授、法政大学教授を経て、現在法政大学名誉教授、神奈川大学特別招聘教授。著書・訳書多数。

江口満(えぐち・みつる)
創価大学文学部卒、ロシア科学アカデミー哲学研究所倫理学研究科倫理学(ロシア)修了。ソビエト国営モスクワ放送アナウンサー兼邦訳者を経て、現在創価大学文学部教授。