哲学/思想/宗教

世界
日本
異端と逸脱の文化史

世界
日本

世界
日本

小説
時代/歴史小説
評論/エッセイ
詩歌

小説
金原瑞人選オールタイム・ベストYA
評論/エッセイ
詩歌

映画/演劇
音楽
美術
画集/作品集

スポーツ
ワイン/酒
趣味/実用その他

新約聖書 訳と註

本巻
別巻

加賀乙彦長篇小説全集
辻章著作集
川村湊自撰集
ジェンダー研究のフロンティア
知の攻略 思想読本



物語考 異様な者とのキス

【内容】
異様な者と出会う時、どんな物語が生まれるのか?
『美女と野獣』/『ノートルダム・ド・パリ』『ノートルダムのせむし男』『ノートルダムの鐘』/『オペラ座の怪人』/『ウンディーネ』『人魚姫』『リトル・マーメイド』/『雪の女王』『アナと雪の女王』/『エリザベート』……。代表的な6つのストーリーをめぐる、異色の物語考!
摩訶不思議にして古くから好まれてきた「異様な者と出会う物語」という物語の元型は、小説、映画、ミュージカルなど様々なスタイルで繰り返し語られてきた――。それらの物語は、アダプテーションされる際どのように変化したのか、近似した要素を有するべつの物語とどのような対比をみせているのか。物語の構造、心理的な意味、社会との関係などから多角的にとらえ、「異様な者と出会う物語」の世界から現代社会を逆照射する。

一連の物語の多くで展開の鍵となるのは、キスだ。息を吹きこむ、息の根を止める。命を与える、命を奪う。愛玩動物などを除けば、基本的に人が人にするものだと思われているキスを、自分を脅かすかもしれない異様な者にする場合、それは相手との関係に一つの決断をしたことを示しており、命をめぐる二者択一がなされている。「異様な者と出会う物語」において最も緊張が高まる一瞬だ。あなたが手にした、異様な者にシンパシーを寄せる本には、そのキスをめぐる魅惑と畏怖が書かれている。
――「まえがき」より

◎装画:中島華映「夢む」


【内容目次】
まえがき
第1章 獣性 変身――『美女と野獣』
第2章 醜さ 変われなさ――『ノートルダム・ド・パリ』/『ノートルダムのせむし男』/『ノートルダムの鐘』
第3章 仮面 二面性――『オペラ座の怪人』
第4章 異族 越境――『ウンディーネ』/『人魚姫』/『リトル・マーメイド』
第5章 異能 暴走――『雪の女王』/『アナと雪の女王』
第6章 死 つきまとう――『エリザベート』
終章 「異様な者と出会う物語」の周辺
あとがき
参考文献


【著者略歴】 円堂都司昭(えんどう・としあき)
1963年生まれ。文芸・音楽評論家。1999年、「シングル・ルームとテーマパーク――綾辻行人『館』論」で第6回創元推理評論賞を受賞。2009年、『「謎」の解像度――ウェブ時代の本格ミステリ』(光文社)で第62回日本推理作家協会賞と第9 回本格ミステリ大賞を受賞。ほかの著書に『 YMO コンプレックス』(平凡社)、『ゼロ年代の論点――ウェブ・郊外・カルチャー』(ソフトバンク新書)、『エンタメ小説進化論――“今”が読める作品案内』(講談社)、『ディズニーの隣の風景――オンステージ化する日本』(原書房)、『ソーシャル化する音楽――「聴取」から「遊び」へ』『戦後サブカル年代記――日本人が愛した「終末」と「再生」』『ポスト・ディストピア論――逃げ場なき現実を超える想像力』(以上、青土社)、『ディストピア・フィクション論――悪夢の現実と対峙する想像力』(作品社)、共著に『バンド臨終図巻――ビートルズからSMAPまで』(文春文庫)など。