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ノマと愉快な仲間たち
玄徳童話集

【内容】
1930年代、ソウル近郊の村。少年ノマと、その友だちトルトリ、ヨンイ、そしてキドンイが繰り広げる日常の物語。貧しくも、心豊かな子ども時代。どこか懐かしい気持ちになる、大人のための童話集。
序文:牧瀬暁子


 ノマはいたずら好きでやんちゃな五、六歳くらいの男の子だ。ノマは次々に遊びをみつけては仲間を引っぱっていく。おもちゃがなくてもボール紙を切り抜いて汽車や小犬を作り出す創意工夫のできる賢さもそなえている。大好きなお母さんのお使いをしたり、友だちが誘いに来てもがまんしてお手伝いをする優しい子でもある。
 路地で遊ぶノマやトルトリやヨンイの家の暮らし向きはゴムの靴一つ新調するのも困難なほどで、それに比べるとキドンイの家は裕福で(…)それでも「ウサギと自動車」に見るように、いつしかキドンイも仲間に入っていっしょに遊ぶようになる。ひとりでに解決する子どもの世界に、読者はほっと心の温まる思いがするのではなかろうか。――「訳者解説」より


【内容目次】
序にかえて――ノマってだあれ? 牧瀬暁子
1 ぼくが一番だ
2 水鉄砲
3 トウモロコシのポン菓子
4 電車ごっこ
5 お米屋さん
6 はだしになって行きます
7 コオロギ
8 ケンカ
9 ブドウとビー玉
10 女の子のコムシン
11 ふたりだけの秘密
12 いくらやってもきりがない
13 みんな、風の子
14 汽車とブタ
15 あんたとなんか、遊ばない
16 ノマの勇気
17 小さな発明家
18 自慢くらべ
19 いかけ屋のおじいさん
20 ネコ
21 コムシン
22 小さな母さん
23 ウサギの三きょうだい
24 ウサギと自動車
25 子犬
26 大きな決意
27 短篇小説 ヒキガエルが呑んだお金
訳者解説
初出一覧
訳者あとがき


【著訳者略歴】
玄徳(ヒョン・ドク)
1909年ソウル(当時の京城)生まれ。本名は玄敬允(ヒョン・ギョンユン)。1927年、『朝鮮日報』の読者公募に処女作の童話「月から落ちたウサギ」が当選。1932年、登壇作とされる童話「コムシン」が『東亜日報』新春文芸童話部門に佳作当選する。1938年には小説「草亀」が『朝鮮日報』新春文芸に当選して文壇へのデビュー作となった。この年、ノマが登場する三部作の小説の「草亀」が1月、「啓蟄」が4月の『朝鮮日報』に掲載され、「ヒキガエルが?んだお金」が雑誌『朝光』の7月号に掲載。解放以後は、「南朝鮮文学家同盟」の機関誌『文学』の編集兼発行人、同盟のソウル支部小説部委員長などを務めた。朝鮮戦争最中の1950年に三十八度線を越えて北側に渡る。その後10年間北朝鮮で創作活動を続けたが、小説集『収穫の日』(朝鮮文学芸術総同盟出版社、1962)刊行の記録を最後に消息が途絶えた。

鄭玄雄(チョン・ヒョヌン)
1910年ソウル生まれ。若い頃から朝鮮美術展に西洋画を出品。1935年に東亜日報に入社、翌年朝鮮日報社に移る。以後雑誌と単行本を発行する出版部に勤務し『朝光』や『女性』、『少年中央』等の雑誌の表紙絵を描く。1938年から39年にかけて毎週のように日曜版『少年朝鮮日報』に発表された玄徳の童話の挿絵をすべて手がけている。装幀家・漫画家としても活躍。1950年、北朝鮮に渡り、残りの半生を送った。1976年に病没。

新倉朗子(にいくら・あきこ)
1931年生まれ。東京大学大学院比較文学修士課程修了、東京家政大学名誉教授。訳書に、『フランス民話集』(編訳、岩波文庫、1993)、『シンデレラ』(ほるぷ出版、1993)、アシル・ミリアン、ポール・ドラリュ『フランスの昔話』(大修館書店、1988)、『美しいユーラリ フランスの昔ばなし』(編訳、小峰書店、1984)、シャルル・ペロー『完訳 ペロー童話集』(岩波文庫、1982)、アルマンド・マルティンス・ジャネイラ『日本文学と西洋文学』(共訳、集英社、1974)などがある。