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すべて内なるものは

【内容】
全米批評家協会賞小説部門受賞作!
異郷に暮らしながら、故国を想いつづける人びとの、愛と喪失の物語。
四半世紀にわたり、アメリカ文学の中心で、ひとりの移民女性としてリリカルで静謐な物語をつむぐ、ハイチ系作家の最新作品集、その円熟の境地。


 記念日というのは、この本の地震についての話「贈り物」のアニカとトマスの物語からもわかるように、ときにつらいものです。
 悲しい記念日は、かつて存在した人や物の不在を大きく膨らませます。この本に収めた短編小説の多くは不在についてのものですが、愛についてのものでもあります。ロマンティックな愛、家族の愛、国への愛、そして他のタイプの厄介で複雑な愛などです。私はその物語の筋をここで明かしたくはありません。それはぜひ、どうぞ、みなさんご自身で見つけだしてください。
 ここにあるのは、八つの――願わくは読者の方々にとって魅力的な――短編小説です。
 私は今、みなさんを、いくつかの独自(ユニーク)な、愛に突き動かされた冒険(アドベンチャー)へと喜んでお迎えいたします。
――「日本の読者への手紙」より


【内容目次】
日本の読者への手紙 エドウィージ・ダンティカ
ドーサ 外されたひとり
昔は
ポルトープランスの特別な結婚
贈り物
熱気球
日は昇り、日は沈み
七つの物語
審査なくして
訳者あとがき


【著者・訳者略歴】
エドウィージ・ダンティカ(Edwidge Danticat)
1969年ハイチ生まれ。12歳のときニューヨークへ移住、ブルックリンのハイチ系アメリカ人コミュニティに暮らす。バーナード女子大学卒業、ブラウン大学大学院修了。94年、修士論文として書いた小説『息吹、まなざし、記憶(Breath, Eyes, Memory)』でデビュー。少女時代の記憶に光を当てながら、歴史に翻弄されるハイチの人びとの暮らしや、苛酷な条件のもとで生き抜く女たちの心理を、リリカルで静謐な文体で描き出し、デビュー当時から大きな注目を集める。95年、短篇集『クリック? クラック!(Krik? Krak!)』で全米図書賞最終候補、98年、『骨狩りのとき(The Farming of Bones)』で米国図書賞(アメリカン・ブックアワード)受賞、2007年、『愛するものたちへ、別れのとき(Brother, I'm Dying)』で全米批評家協会賞(自伝部門)受賞、2020年、『すべて内なるものは(Everything Inside)』で全米批評家協会賞(小説部門)と最もすぐれた短編集に与えられるThe Story Prizeを受賞。邦訳に、『ほどける』、『海の光のクレア』、『地震以前の私たち、地震以後の私たち──それぞれの記憶よ、語れ』、『骨狩りのとき』、『愛するものたちへ、別れのとき』(以上佐川愛子訳、作品社)、『デュー・ブレーカー』、『クリック? クラック!』(以上山本伸訳、五月書房新社)、『アフター・ザ・ダンス』(くぼたのぞみ訳、現代企画室)、『息吹、まなざし、記憶』(玉木幸子訳、DHC)、「葬送歌手」(立花英裕、星埜守之編『月光浴──ハイチ短篇集』所収、国書刊行会)など。

佐川愛子(さがわ・あいこ)
1948年生まれ。元女子栄養大学教授。共著書に松本昇、大崎ふみ子、行方均、高橋明子編『神の残した黒い穴を見つめて』(音羽書房鶴見書店)、三島淑臣監修『滝沢克己を語る』(春風社)、松本昇、君塚淳一、鵜殿えりか編『ハーストン、ウォーカー、モリスン──アフリカ系アメリカ人女性作家をつなぐ点と線』(南雲堂フェニックス)、風呂本惇子編『カリブの風──英語文学とその周辺』(鷹書房弓プレス)、関口功教授退任記念論文集編集委員会編『アメリカ黒人文学とその周辺』(南雲堂フェニックス)、滝沢克己協会編『今を生きる滝沢克己──生誕110周年記念論集』(新教出版社)など。訳書にエドウィージ・ダンティカ『ほどける』、『海の光のクレア』、『地震以前の私たち、地震以後の私たち──それぞれの記憶よ、語れ』、『骨狩りのとき』、『愛するものたちへ、別れのとき』(以上作品社)、共訳書にサンダー・L・ギルマン『「頭の良いユダヤ人」はいかにつくられたか』、フィリップ・ビューラン『ヒトラーとユダヤ人──悲劇の起源をめぐって』、デイヴィッド・コノリー『天使の博物誌』、ジョージ・スタイナー『ヒトラーの弁明──サンクリストバルへのA・Hの移送』(以上三交社)など。