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外の世界

【内容】
アルファグアラ賞受賞作!
〈城〉と呼ばれる自宅の近くで誘拐された大富豪ドン・ディエゴ。身代金を奪うために奔走する犯人グループのリーダー、エル・モノ。彼はかつて、“外の世界”から隔離されたドン・ディエゴの可憐な一人娘イソルダに想いを寄せていた。そして若き日のドン・ディエゴと、やがてその妻となるディータとのベルリンでの恋。いくつもの時間軸の物語を巧みに輻輳させ、プリズムのように描き出す、コロンビアの名手による傑作長篇小説!


「俺は堕落する前に、あんたみたくイソルダを抱き締めて、俺のイソルダ、と呼んでみたかった。俺が欲しかったのはあんたの金じゃないんだよ、ドクトール。あんたの娘を欲しかったんだ。城の近所に住む金持ちのぼんぼんが日がな一日、城の周りをうろついているのと同じように、俺もイソルダの行動を遠くから窺っていたんだ」(中略)
 今度こそ、エル・モノは腹から笑った。俺にしたって同じだよ。あの娘を思い出すと、ときどき自分でも知らないうちになんでもないのに笑っているんだ。悪ふざけかなにかを思い出したんじゃないか、って訊かれるけど、あんたと同じだよ、ドクトール、あの娘のせいだ。俺たちのイソルダを思うと、笑いがこぼれてしまうんだ。あんたは、俺たちのって言うと怒るけどな。(本書より)


【著訳者略歴】
ホルヘ・フランコ(Jorge Franco)
1962年、コロンビア・メデジン生まれ。ロンドン・インターナショナル・フィルム・スクールで映画について学んだのち、ボゴタのハベリアナ大学で文学を専攻。1996年『呪われた愛』で作家デビュー。2014年、本書『外の世界』でアルファグアラ賞受賞。邦訳に『ロサリオの鋏』、『パライソ・トラベル』(ともに田村さと子訳、河出書房新社)などがある。

田村さと子(たむら・さとこ)
1947年、和歌山県新宮市生まれ。お茶の水女子大学卒業後、メキシコ国立自治大学でラテンアメリカ文学を、スペイン国立マドリード大学で詩論を学ぶ。帰国後、お茶の水女子大学大学院博士課程修了。1991年、同大学にて学術博士号(Ph.D)取得。著書に『百年の孤独を歩く──ガルシア=マルケスとわたしの四半世紀』(河出書房新社)など、訳書にマリオ・バルガス=リョサ『楽園への道』(河出文庫)、『つつましい英雄』(河出書房新社)などがある。