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アイリーン

【内容】
都内のマンションの一室に住む占い師、藤尾雛姫のもとに、変わった来客が相次いでいた。彼らには一様に雛姫が占いをするときの「アイリーン」という名を知ってやってきたと言い、しかし自分の探している「アイリーン」は雛姫ではないという。彼らに優しい言葉をかけ、癒したという謎の女性「アイリーン」を見つけ出す事を何人かの客から求められ、そのうちの一人に再び「アイリーン」と出会える可能性を見出した時、雛姫はもう一人の「アイリーン」を探すことを決意する。雛姫の両親はすでに他界し、残された姉との家族関係も崩壊していた。雛姫は「アイリーン」を探しながら、最も癒される必要を感じているのは自分自身なのだということに気付き始める。そして、とあるホテルのティーサロンで「アイリーン」との出会いの時はやってきた。

【著者紹介】
篠原一小説家。1976年生まれ。93年、「壊音 KAI-ON」で文学界新人賞を史上最年少の17歳で受賞。現在、立教大学大学院文学研究科ドイツ文学専攻修士課程在学中。著書に、「だれがこまどり殺したの」、「天国の扉」、「きみよ わすれないで」(以上河出書房新社)、「ゴージャス」(角川書店)、「アウト トゥ ランチ」(集英社)などがある。