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評伝 立花隆
遥かなる知の旅へ

【内容】
政治・脳死・宇宙・細胞・絵画・音楽・文学・教育……。関心領域のあらゆる事象を論じ続けた、不世出の万能知識人(ゼネラリスト)。その仕事と生涯を丹念に追う、名手による長篇書き下ろし評伝。

 彼には、すでにして「知の巨人」という、不動の商標がついていた。私を奮い立たせたのはまず、このイージーな商標を引き?がしてみたいという批評家としての欲望であった。卓越した知的フットワークの持ち主である彼に、「巨人」というレッテルを押しつけるのは、いかにもその有機的、動態的な知性の運動を静止させることでしかない。「知の巨人」である以前に、彼は大いなる旅の人であった。その軌跡を追うことはまた、知的な遍歴をたどり直すことでもあるだろう。サブタイトルにこめたのは、そのことである。  遥かなる知の旅――その第一歩は到達点へのそれではなく、帰還への小さな一歩である。大いなる旅人はしかし、同じ場所に戻ることはできず、同じ人間にとどまることもできない。「旅」は人間に何らかの変容をもたらし、それが次なる旅を促すことになる。立花はこの意味で、常に、そして既に「途上」にある人だった。(本書「あとがき」より)

【内容目次】
第一章 死を語る言葉たち
第二章 武満徹への旅
第三章 香月泰男との運命の出会い
第四章 評伝1 引き上げ・両親のこと
第五章 評伝2 父・橘経雄の戦後とルーツ
第六章 評伝3 大学時代、文春入社と退社の経緯
第七章 出世作『思考の技術』の画期性
第八章 宇宙・細胞・進化をめぐって
第九章 分子生物学へのアプローチ
第十章 ロシア・コスミズムとコミュニズム
第十一章 「臨死」問題への遡行
第十二章 「脳死」をどう捉えるか
第十三章 教育制度改革からの脱出、立花隆と東大
第十四章 科学する頭脳とメディア問題
第十五章 リベラル・アーツの起源と歴史展開
第十六章 情報のインプット・アウトプット
第十七章 アナログからデジタルへ
第十八章 評伝4 橘孝三郎との血縁と思想的切断
第十九章 評伝5 被爆都市・長崎と幻想都市・長崎
第二十章 評伝6 フィクションからノンフィクションへ
第二十一章 評伝7 田中角栄との二十年――金脈問題からロッキード裁判まで
第二十二章 ノンフィクションとしての「研究」
第二十三章 評伝8 ノマド立花隆のライフスタイル
第二十四章 評伝9 結婚と破局、初婚の妻を看取るまで
第二十五章 万能知識人(ゼネラリスト)のロゴスとパトス
第二十六章 評伝10 立花隆の大きな旅
終章 未来の他者――立花隆は二度死ぬ(ユー・オンリー・リブ・トゥワイス)
 年譜・立花隆とその時代
 あとがき


【著者略歴】
高澤秀次(たかざわ・しゅうじ)
文芸評論家。1952 年北海道室蘭市生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。著書に、『評伝 西部邁』(毎日新聞出版)、『戦後思想の「巨人」たち』(筑摩選書)、『文学者たちの大逆事件と韓国併合』(平凡社新書)、『ヒットメーカーの寿命』(東洋経済新報社)、『吉本隆明1945-2007』(インスクリプト)、『戦後日本の論点』(ちくま新書)、『江藤淳』(筑摩書房)、『評伝 中上健次』(集英社)など、監修に『別冊太陽 中上健次』(平凡社)、『電子版 中上健次全集』(小学館)など、編書に中上健次『現代小説の方法【増補改訂版】』、『中上健次[未収録]対論集成』(以上作品社)などがある。