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海と人形

【内容】
人間と、人間ならざるもののあわいを見つめる、諷刺と諧謔に満ちた寓話的詩集。

【内容目次】
序文
第1章 序章 01 夜の木(歌詞)/02 白鳥/03 せんぷうきとスイカ/04 金魚のふうせん/05 子猫と金魚/06 ネコの着地
第2章 イメージ 07 ヘラクレスと虎/08 見せ物/09 ネコと鉄棒/10 妻と料理/11 梅干しの種/12 南の島/13 クラゲ/14 人形の先生/15 きこり/16 詩人と息子とネコ/17 キツネの見たもの/18 アヒルとウサギ/19 ガンと禁煙/20 腐ったギョウザ/21 白熊/22 果物食べ放題/23 雷神/24 洞窟の夢/25 石ころ/26 落ち葉の旅/27 コッペリウス博士と人形
第3章 雑詩編 28 小さいことと大きいこと/29 夏の終わり/30 小さい犬/31 凍ったみかん/32 足の裏
第4章 エピローグ 33 梯子を登る人/34 下に向かって降りる夢/35 長い本
第5章 エッセー風の断章 36 子供とデフォルメ/37 本と顔写真/38 酒とタバコと薬物/39 長寿村/40 旅行の限界

人形の先生が、背広を脱いだ。 シャツは着ていない。
人形の先生が、ズボンを脱いだ。
パンツは、はいていない。
子供たち、
ワー。
みんな静かに。
きょうは、人間の内臓について、
勉強します。
それから先生は、
胸から腹にかけての、
前面の被いを蓋のように外した。
先生は自分の、胃と腸、
肺と心臓、肝臓と腎臓を見せながら、
それぞれが、どんな働きをするのか、
説明した。
授業がすむと、体に蓋をはめ、
服を着て、
教科書とノートを持って、
出て行った。
(本書所収「人形の先生」より)