廷臣たちの英国王室
王冠を支える影の力
ヴァレンタイン・ロウ
保科京子訳
本体 3,600円
ISBN 978-4-86793-042-7
発行 2024.9
【内容】
側近たちの逸話が伝える、ベールの内側の真の姿。
英国王室には、ロイヤルファミリーを公私ともに陰で支える「廷臣(ていしん)たち」(秘書官、報道官など)が多数存在する。
本書では、高級紙『The Times』で王室取材を担当する著者が、膨大なインタビューによる生の証言を含んだ綿密な調査で、通常表には出てこない彼らの逸話にスポットを当て、ベールに包まれた王室の真の姿を、英国の現代史とともに活写する。
若き日のエリザベス、ダイアナの死と息子たち、チャールズの即位への準備、アンドリューのスキャンダル、メーガンの登場と王室離脱――ニュースや歴史として知っている出来事も、その裏で力を振るった「廷臣たち」に注目することで、背景に潜む「力学」を垣間見ながら、よりリアルに理解できる。英国歴史・王室ファン垂涎の一冊!
君主が存在すれば、宮廷が存在する。宮廷が存在すれば、廷臣が存在する。(…)彼らは権力を持つが、決して統治せず、その代わりに陰でひっそりと生きる。裏で力を発揮するも、決して表舞台には姿を現さない。その世界は閉ざされており、奇妙なルールと独特なドレスコードがある。つかんだと思った運も容易に逃げていく、生き残りを賭けた場所なのだ。――本文より
【内容目次】
プロローグ 二〇一八年一〇月二六日、オーストラリア、シドニー
第1章 糊の効いたワイシャツ
第2章 威厳ある奴隷
第3章 成長する
第4章 カクテルパーティ
第5章 ゼロサムゲーム
第6章 宮殿戦争
第7章 王室用燕尾服
第8章 賞味期限
第9章 ゴールデントライアングル
第11章 「みんなから邪険にされるんだ」
第12章 「これはおもしろそうね」
第13章 ハリーに夢中
第14章 出口戦略
第15章 とっておきの優しさ
第16章 バッキンガム宮殿の衛兵交代
第17章 国民のために
謝辞/参考文献/注/図版クレジット/人名索引/訳者あとがき
【著訳者略歴】
ヴァレンタイン・ロウ(Valentine Low)
イギリスのジャーナリスト。全寮制パブリックスクール、ウィンチェスターカレッジを経て、オックスフォード大学を卒業。1987年から『The London Evening Standard』で記者を務めた後、2008年から『The Times』で王室取材を担当。2021年5月、オプラ・ウィンフリーのインタビュー映像が放映される数日前に、メーガンによるパワハラ疑惑の記事を発表する。著書に『One Man and His Dig』(Simon & Schuster、2008年、未邦訳)がある。
保科京子(ほしな・きょうこ)
大学卒業後、広告代理店勤務。ヨークシャーの荒野好きが高じて、英国系航空会社に転職。長野移住後、長野オリンピックをきっかけに、英語の世界へ。大学受験・TOEIC対策講師のほか、実務・出版翻訳も始める。訳書に『ビジネスの新形態B Corp入門』(ニュートンプレス)、『なぜ、脱成長なのか』(共訳、NHK出版)などがある。アガサ・クリスティの原書を音読する「原書を読む会」を主宰。長野市在住。