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回想 市民運動の時代と歴史家
1967-1980

【内容】
ロシア革命五〇周年の年に初の業績を上げ、翌年、反戦・反米軍の市民運動を立ち上げ、ベトナム戦争と闘う──
金大中拉致事件から日韓連帯運動へ、成長した歴史家はモスクワへ向かい、彼の地で民衆とブハーリン夫人と出会う──
市民運動を多くの仲間たちと実践した歴史家が描く時代の記録!

〔ベ平連の運動が〕はじまったのは市民運動の時代である。市民が戦争と闘い、国家の誤った政策に抵抗する時代である。一九六八年にはべ平連を名乗るグループも、そう名乗らない市民のグループも全国津々浦々にわきおこった。ついには、私のような人間でさえも、自分の家の屋根の上の空にベトナム戦争で傷ついた兵士を運ぶ米軍ヘリコプターが飛来するのを黙ってみている状態に我慢できなくなって、べ平連運動に、反戦反米軍の市民運動に踏み出すことになったのである。〔……〕そのとき、私は三〇歳になって、ロシア史を研究する歴史家として、東京大学社会科学研究所の助教授という職を得たばかりであった。五〇年前の世界戦争に抗して起こるロシア革命の第一幕に関する論文、「二月革命」を書いて、世に問うたときであった。だから、市民運動の時代に自分も市民運動をやることになって、その経験の中から歴史家としての仕事にさらに精進していくことになったのである。
(本書「はじめに」より)


【内容目次】
はじめに
第1章 一九六七年の私
 ロシア革命五〇周年記念の年に/『世界の名著 レーニン』と娘の誕生/米軍ヘリコプターの爆音と五〇年前の兵士反乱/ベ平連のデモが行く/羽田事件と菊地問題

第2章 市民がベトナム戦争と闘った
 一九六八年という年/私は踏み出した/〈大泉市民の集い〉の旗揚げ/東大闘争の共時的進行/歌を歌う、歌をつくる/教師と東大闘争/東大全共闘玉砕へ/学生鎮圧のあと/見ることによる攻撃/こちら朝霞反戦放送局/ベトナム人留学生と出会う/ランパーツを定期購読する/『原点――差別を見つめる』/ジャテック、変貌の時/ホー首席追悼の行進/アメリカ人活動家ヤン・イークス/攻撃的基地闘争の提起/反戦GIの出現/米軍解体という新目標/ベトナム人留学生、サイゴン政権と対決/梅林・山口グループの登場/ベトナム人留学生、在留を勝ち取る/『米国軍隊は解体する』/反戦放送から反戦テレビへ/岩国基地での米兵反乱/私たちと兵士の祭り/マクリーン裁判/朝霞米軍病院閉鎖/『ベック情報』発刊/ベトナム進出企業に反対する/ジャテック最後の作戦/さあここで戦争の機械をとめよう/ハイエナ企業を告発する/ニクソンの大謀略/鶴見俊輔氏ら、キム・ジハを訪問/ハイエナ審査会ひらく/相模原夏の陣/ニクソン再選/パリ和平協定/ベ平連の解散/ハイエナ企業市民審査会へ/マクリーン裁判の勝利と敗北/プロムナード――「大泉市民の集い」の仲間たち/

第3章 歴史家になる
 『血の日曜日』/シベリア戦争史ゼミナール/最初のソ連旅行/「戦後日本人の反省と戦史家」/『ニコライ・ラッセル――国境を越えるナロードニキ』/『マルクス・エンゲルスと革命ロシア』/大学院の学生たち

第4章 日韓連帯運動の六年
 金大中拉致事件の衝撃/金大中氏の原状回復を求めて/ソルジェニーツィンを救え/日韓連帯連絡会議結成/金芝河を殺すな/文世光事件の波紋/在日韓国人政治犯問題への関心/富山化学の公害輸出に反対する/ヴェントゥーリ先生の来日/「エセーニンとマフノ」/総合雑誌に書く/鶴見俊輔さんの学校に入る/東亜日報支援の運動/『読売新聞』の書評委員/歌をつくる/一九七五年春の急変/ベトナム人民勝利の時/金芝河のための第三次ハンスト/日韓問題市民セミナー開校/ベトナム人民の勝利を祝う/金芝河『良心宣言』の発表/中井毬栄と金芝河第ニ作品集/宋栄淳氏のこと/アジア人会議/日韓調査の発足/『世界』に書く/ソ連再訪/一九七六年三月一日/ベトナム留学生たちの「今日」/青地さんの椎名悦三郎批判/シンポジウム「日韓関係と南北統一問題」/韓国問題緊急国際会議と小田実氏の北朝鮮訪問/ソ連の歴史家たちを読む/連帯運動の広がり/金芝河の最終陳述/韓国知識人の思想/「ソ連における反ファシズムの論理」/『日韓連帯の思想と行動』/「農民革命の世界」/和田あき子、無農薬野菜運動へ/ソ連での在外研究の可能性/日韓連から日韓連帯委員会へ/

第5章 文明としてのソ連
 モスクワに移り住む/冬のモスクワ/ソ連の食/ソ連史研究所/強盗事件の調書づくり/モスクワの知人たち/ゲフテル訪問/ラッセルの研究者たち/シャーニンとダニーロフ/タガンカ劇場がよい/歌、歌、歌/シャギニャンとレーニン/モスクワの文書館/ピルモーヴァの援助/厳冬のレニングラード/プレハーノフ記念館/フィグネルの姪と会う/肩の痛みで街へ/フィンランド旅行/幸運なリョーヴァとの出会い/ラッセル遠縁の娘/異論派ロギンスキー/モスクワ、ミンスク、アルマ・アタ/ARS LONGA/日本への手紙/パルヴスの遺児とブハーリン夫人/ミンスク訪問/アルマ・アタへの旅/イルクーツクにて/ボトキン病院五〇日/有無を言わさぬ入院/病院の人々/見舞客たち/看護婦とニャーニャ/入院患者/退院へ/異論派たち/ブハーリン夫人は語る/ゲフテルは語る/別れのとき/リヴォーヴァさんの真実/ピルーモヴァの語られざる秘密/トヴァルドフスキーの歌を聴く/帰国/帰国後の三か月/朴大統領の死/ゲフテルに迫る危険

編集者による付記
人名索引