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21世紀の子供たちに、アウシュヴィッツをいかに教えるか?

【内容】
20世紀の虐殺と戦争の体験者が消え去ろうとしている現在、21世紀に向けて「歴史の記憶」をどのように次世代へと受け継がせていくのかという問題は、世界的な課題として問われています。 本書はフランスの歴史の哲学者であり、現役の高校の歴史教師である著者が、アウシュヴィッツ世代が消え、リヴィジョニズム、ネオファシズムが台頭する中で、21世紀の中学生・高校生にいかに世界史的な悲惨を受け継がせてゆくかという課題に、最新の歴史学知識を基に正面から取り組んだものです。

【目次】
日本版への序文 ― 私たちには、21世紀の子どもたちへ、20世紀の痛ましい記憶を伝える義務がある。 ジャン=フランソワ・フォルジュ

 序論 歴史的知識の伝達から共感共苦へ
1.ビルケナウ収容所からプラド美術館へ、一艘の船が・・・・・
2.感動が伝える”心情の知性” ― アウシュヴィッツを生き延びた芸術

 第1章 脅かされるショアーの歴史―記憶の陥穽を超えて、歴史の真実を探るために
1.スターリンの収容所とヒトラーの収容所を比較できるか
2.植民地支配についての歴史 ― 忘れられたままの殺戮
3.1940〜45年 ― 訪いなおされる「公的フランス史」
4.ショアーの歴史を脅かすもろもろの危険 ― 歴史否定論、歴史修正主義、神聖化
  ショアー ― 唯一無比(ユニーク)な殺戮
  歴史に対する厳密さの重要性 ― ショアー否定論に抗するために
  もうひとつの「歴史修正主義」 ― ポーランドにおけるカトリック教会の企て
  歴史を硬直化し、神聖化することの危険性
5.ショアーをめぐる誇張や作り話 ― 証言における歴史的事実の峻別
  宣伝効果や誇張を超えて
  生存者の証言をどう読み解くか ― エリ・ヴィーゼル『夜』
  元SSの証言に見る誇張と動揺
6.映像が発信する混乱したメッセージ
  映像資料の問題性 ― 無視された厳密さ
  映画『夜と霧』 ― その歴史的役割と現在での評価
  フィクション映画 ― 『ホロコースト』『シンドラーのリスト』

 第2章 授業において、証言や文献資料をいかに使うか
1.イディッシュ世界の映像 ― 壊滅される前に実在したユダヤ人社会
2.フランスから収容所に移送された、ユダヤ人児童の笑顔
3.悲劇の始まり ― 1942年、パリ警視庁に送られた手紙
4.忘れられた女性抵抗者たち ― 黄色い星をつける勇気
5.教室で聞く生存者の証言
6.記憶すべき場所を訪ねる
  イジユー村
  アウシュヴィッツとポーランドの収容所
  『アウシュヴィッツのアルバム』
  ポーランドへの旅
7.残虐性が日常化するまでの物語
  1941年8月、ドイツ国防軍第6軍のある出来事
8.数少ないショアーの実写映像
9.収容所に残された写真 ― われわれを見つめるある少女の顔

 第3章 クロード・ランズマンの『ショアー』 ― 実地調査と抵抗
1.精神を変革する力をもつ作品 ― 映画と書物
2.ショアーの現実性
3.歴史と場所
4.映画技法の駆使
5.リアリスティックな描写から芸術作品への昇華
6.犠牲者の思い出と涙
7.殺し屋の思い出と忘却
8.目撃者の思い出
9.登場人物としてのランズマン
10.「ここはなぜはない」
11.この映画を教室で利用するための提案
12.記憶と道徳意識のための作品

 第4章 プリモ・レーヴィの作品 ― 記憶をとりもどす
1.証言者としてのレーヴィ
2.作家としてのレーヴィ
3.フルビネクの記念に ― もっとも無力で無垢だった子ども
4.取り返しのつかない悪 ― 失われる人間への信頼
5.文化の力と友情 ― 宥和に向かっていたのか
6.「遂に海は我らの頭上で閉じた」 ― 自殺の謎

 第5章 記憶から抵抗へ
1.生徒たちを、二人の歴史の媒介者のもとに誘うために
2.カリキュラムをどうするべきか
3.学校における<警戒の倫理>のために
  人を殺す言葉
  何気ない軽蔑が、途轍もない軽蔑を準備する
  他の暴力との比較について
  いじめ問題 ― 教育機関のなかに制度化された屈辱
  記憶する義務と警戒する義務

 結論 アウシュヴィッツに抗して教える
1.国民社会主義の恐るべき力
2.アウシュヴィッツの後に教えるとは、アウシュヴィッツに抗して教えることである

 解説 「記憶の義務」と現代史教育 ― ジャン=フランソワ・フォルジュの実践の寄せて

 訳者あとがき

 文献案内

【訳者紹介】
高橋武智1935年、東京生まれ。1957年、東京大学仏文科卒業後、同大学院で18世紀仏文学・思想を専攻。立教大学助教授を経て、現在、翻訳家、スロヴェニア・リュブリューナ大学文学部講師。 主な訳書に、A・ゴルツ『エコロジスト宣言』(技術と人間/緑風出版)、H・カレール=ダンコース『崩壊したソ連帝国』(新評論/藤原書店)、クロード・ランズマン『SHOAH』(作品社)、『レ・タン・モデルヌ(現代誌)50周年記念号』(共訳、緑風出版)、A・デル・ボカ『ムッソリーニの毒ガス』(監訳、大月書店)ほか。編著に、『群論・ゆきゆきて神軍』(倒語社)ほか。

【解説者紹介】
高橋哲哉1956年、福島県生まれ。1978年、東京大学教養学部卒業後、同大学大学院哲学専攻博士課程単位取得。現在、東京大学大学院総合文化研究科助教授(哲学専攻) 主な著書に、『戦後責任論』(講談社)、『記憶のエチカ』(岩波書店)、『逆光のロゴス』(未来社)、『デリダ――脱構築』(講談社)、『ナショナル・ヒストリーを超えて』(共編、東大出版会)、『<ショアー>の衝撃』(共編、未来社)、『断絶の世紀証言の時代』(徐京植氏との対談、岩波書店)、『私たちはどのような時代に生きているのか』(辺見庸氏との対談、角川書店)ほか。