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哲学用語入門
テルミノロギー

【内容】
アドルノの遺作。
用語解説による哲学入門!

46回に亙りフランクフルト大学で行われた円熟期の連続講義。観念論と実在論、合理論と経験論、唯心論と唯物論など数多の基本用語に論及しつつその哲学的意義と作用を平易に解説。

今日から始まるのこの講義には、「入門」あるいは「導入」という副題が添えられています。この副題には二つの意味があります。というのも、この副題からは、「哲学用語入門」と同時に「哲学入門」という意味が想定できるからです。こうした二つの意味は意図されたものです。この講義には二つの目的があります。一つは皆さんに哲学用語に接してもらうことです(…)と同時に用語の説明を通じて、いささか目新しく普通とは違うやり方で皆さんの哲学への導入をはかるという目的もあります。(…)哲学の問題はどこまでいっても言葉の問題なのです。(本文より)


【講義内容】
※以下の項目は、それぞれの講義において取り上げられている用語・人名・問題点などを訳者の判断に基づいて列挙したものであり、原書には存在しない。内容理解の一助となれば幸いである。
第一講義:「哲学用語入門」と「哲学入門」/言語批判としての哲学/定義/用語の変遷
第二講義:概念と事象の対決/カントの定義批判/定義の疑わしさと困難さ/ニーチェとカントの一致/日常語と哲学用語の関係/「否定」/イデアリストとリアリスト
第三講義:用語を文脈の中で理解する/用語は歴史的なものである/アリステレス・スコラ哲学/唯名論と概念実在論/哲学の重要性
第四講義:哲理(世界知)の二重性/専門と非専門/プラトンのイデアの多義性/キリスト教
第五講義:ドゥンス・スコトゥスと個性原理[ハエケイタス]/存在の差異化/用語と啓蒙
第六講義:アウラ/プロセス/論理学・美学・倫理学/統一性への疑い/ミメーシス
第七講義:真理とは壊れやすいものである/素朴さ/哲学と芸術/概念の酷使/反省・批判
第八講義:哲学と世界観/哲学の統一性/ヘーゲルとディルタイ/神の存在論的証明
第九講義:概念の錯綜性/概念と存在/ぼろぼろでやっかいなこと/忘却された問題
第十講義:世界観と哲学/真理要求/自立という幻想/世界観的思考の危険性/束縛
第十一講義:知恵/若者のものとしての哲学/正しい生/深さの弁証法
第十二講義:ニーチェにおける深さ/真の深さは概念の労働・酷使から生まれる/深さの浅薄化/主観の外からくるの/プチブル
第十三講義:相対主義の流行/起源への信仰/第一原理を疑え/ハイデガー「われらはなぜ田舎にとどまるのかか?」/哲学的まがいもの[キッチュ]
第十四講義:ある学生からの非難/根源的なるもの/定理を超える/悪・罪・苦悩/幸福
第十五講義:主観についての反省/主観性と対象的契機/魂/純粋理性と実践理性/心理学/カントとフロイト/深さの真の意味へ/同一性原理に抗して
第十六講義:哲学と知恵の分離/直接性の解体/賢者としての哲学者/正しい生活への指針としての哲学/哲学のもたらす痛み
第十七講義:哲学は歴史の変化にさらされる/愛/情動/悪への憎しみ/否定性/罪連関/哀しみ(喪)のカテゴリー/動物化
第十八講義:明晰さへ向かう努力としての哲学という定義/弁証法/対象(客体)/「もっと闇を」/インテンチオ・オブリクヴァ
(以上第一巻)
第十九講義:哲学という概念/思考を思考する[ノエシス・ノエセオス]/自己反省/言語への嫌悪/専門分野/用語の変化
第二十講義:超越論的/ドイツ観念論/哲学的概念の多様な意味/哲学の中心的な学校(教育)[シュール]概念/観念論と実在論/合理論と経験論/唯心論と唯物論/デカルトとベーコン/ロックとカント
第二十一講義:対立する概念/カントの自我/概念/ヘーゲルの場合/マルクスの唯物論/概念の自己運動 /「弁証法的唯物論[ディアマート]」の醜怪さ/原理とは何か/経験論と観念論の同型性
第二十二講義:自然支配の契機 /アングロ・サクソンのイデオロギー/媒介への盲目性/ 傲慢[ヒュブリス]/観念論の頽落/破壊的なもの/極端なもの/ジョン・ロック/カント
第二十三講義:対をなす概念の錯綜した状況/独断[ドグマ]/合理論/観念論/経験論/コペルニクス的転回/客観性の救抜/レーニン『唯物論と経験批判論』/用語の多義性
第二十四講義:カントにおける「観念・表象[フォアシュテルング]」/観念論/唯名論/ 意識の統一性・超越論性の条件/個人の意識/カントの『プロレゴーメナ』/カントの理念/行為の概念
第二十五講義:カントとヘーゲル/観念論の反対物への移行/危険に賭ける/批判/観念論における精神の意味/思惟と存在の同一性
第二十六講義:同一性思考/観念論と唯物論/主観性/自然支配と自己保存/主観に還元出来ぬもの/経験論哲学/措定する原理としての精神の原理/認識論
第二十七講義:論理学/論理の客観性/形式論理学と質料論理学/超越論的論理学
第二十八講義:理性と悟性 /啓蒙主義者カント/もう一つの理性概念/形式主義の陥穽/合理性のパラドックス/「詭弁を弄する」「理屈をこねる」
第二十九講義:同一性の概念/シェリング/フィヒテ/カント/ヘーゲル/「私は考える」/ 自我/主体/同一性/自我/ 意識の統一性/物・対象の統一性/実在論
第三十講義:理性は個々の有限な意識を必要とする/共軛不可能なものとしての個人/個性の重み/ヘーゲルの偉大さ/統一化/同一性/同一性と他なるもの
第三十一講義:観念論と実在論/主観への方向転換/認識批判の批判/行為の概念/私の意識の内容の代替不可能性/機械的認識の理想像としてのレース・コギタンス/主体
第三十二講義:合理論と経験論/思考と経験/肉体と精神/真理とは具体的なものである/先験性[アプリオリテート]/真理の残余理論批判/自然支配・自己支配と自己保存
第三十三講義:唯物論と唯心論/バークリーの二義性 /形而上学/世俗化/唯物論の強さ
第三十四講義:唯物論の「香気[アロマ]」/ 唯物論の二つのパターン/精神のペテンを暴く/唯物論も主観の媒介を必要としている/認識論の見えないもの/快・不快の次元/快楽主義/唯物論と死
第三十五講義:非志向的な経験 /醜悪なもの/唯物論の基本モティーフ「不安を取り除く」/ホッブズとマルクスの唯物論/解放と抑圧の絡み合い/プラトンとデモクリトス/デモクリトスのテーゼ
第三十六講義:デモクリトス(前講の続き)/インテンチオ・レクタ/決定論/矛盾/マルクスの唯物論の目的は唯物論の廃棄にある/仮象[ドクサ]/デモクリトスとエピクロスの原子論
第三十七講義:エピクロス/唯物論の一貫した構造/個人主義の時代としてのヘレニズム期/科学的思考への嫌悪/正しい生/インテンチオ・オブリクヴァ/物理的自然の客観性と主観的な感覚的経験/マルクスの弁証法/エピクロスにおけるドクサ
第三十八講義: 無からの創造[クレアチオ・エクス・ニヒロ]/発展理論/神をめぐる思惟/真理に代わる幸福のモティーフ/エピクロスの神/スムム・ボーヌムとしての快楽/中庸[アタラクシア]の理想/エピクロスの徳「隠れて生きよ[ラテ・ビオーサス]」
第三十九講義:エピクロスにおける個人/ラテ・ビオーサス/抽象的個人主義/「呼ばれないときには殿様のところへ行くな」/不安/自分自身の存在の偶然性を非自我との弁証法にさらす/近代唯物論へ/ホッブズ/実証主義
第四十講義:ホッブズの哲学/実体概念/身体/極端な唯名論と体系形成欲求の絡み合い/唯名論と概念実在論/自己保存
第四十一講義:マルクスの唯物論/理論と実践/自己完結的な全体的思考に対する批判/ヘーゲルとマルクス/市民社会/「生産力と生産関係」/スミスとリカード/弁証法の論理/体系/体系のはらむ背理
第四十二講義:体系の強制から自由になった思考/生産性の概念 /生産的労働/マルクスの価値概念/マルクスのラッサール派批判/有用性/唯物論とは唯物論を終わらせるための実践である
第四十三講義:プラトンのイデア論
第四十四講義:プラトンのイデア概念/実体概念[ヒュポスタシス/ヒュポテーゼ]/プラトンの弁証法とプラトンの神話/陶酔(熱狂)への囚われ/唯名論
第四十五講義:理念の原像[ウアビルト]/カントの『プロレゴーメナ』/カテゴリーと理念/哲学は特権的思考ではない/ 統制的と構成的/理念による悟性の限界づけ/ヘーゲルとは自己へ到達したカントである/意志は自由である/定言命法の意味/神と不死の理念/カントの理念の奇妙な二重性
第四十六講義:理念の到達可能性ないしは不可能性/理念の実現性あるいは非実現性/ヘーゲルの『哲学入門[プロペドイティーク]』/理念の絶対的同一性/主観と客観の同一性/ヘーゲルの分析は体系的であると同時に哲学史的である/概念と事象/ヘーゲルにおける国家と理念/超越的と内在的
(以上第二巻)


【内容目次】
凡例
第一巻 第一講義〜第十八講義
編集ノート
第二巻 第十九講義〜第四十六講義
訳者あとがき
人名索引