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【内容】
韓国南部の小島、過去の幻影に縛られる初老の男と少女の交流。
ガーナからパリへ、アイデンティティーを剥奪された娘の流転。
ル・クレジオ文学の本源に直結した、ふたつの精妙な中篇小説。
ノーベル文学賞作家の最新刊!


その瞬間、まったく新しい自分を感じる。ぼくがむだに過ごしたあの年月が、すっかり赦され、あとかたもなく消え失せたように思える。それが十三歳の少女の涙のおかげとは。ジューンを抱く手に力を込める。自分が誰だか、彼女が誰だか忘れてしまう。彼女が子供で、自分が年寄りであることなど忘れてしまう。骨が軋むほど強く抱きしめる。(「嵐」より)

とても優しい温もりがわたしを包んでいた、周囲の壁からも、染みだらけの天井からも、合成樹脂の床からも、四方八方から寄せてくる温もりだった。両脚の骨にその温もりを感じ、それは皮膚まで浸透してくる。燃えるような幸福感だ。こんな温もりがこの世に存在しうるのか。これには名前があるのか。(「わたしは誰?」より)


【著訳者略歴】
J・M・G・ル・クレジオ(Jean-Marie Gustave Le Clezio)
1940年、南仏ニース生まれ。1963年のデビュー作『調書』でルノドー賞を受賞し、一躍時代の寵児となる。その後も話題作を次々と発表するかたわら、インディオの文化・神話研究など、文明の周縁に対する興味を深めていく。主な小説に、『大洪水』(1966)、『海を見たことがなかった少年』(1978)、『砂漠』(1980)、『黄金探索者』(1985)、『隔離の島』(1995)など、評論・エッセイに、『物質的恍惚』(1967)、『地上の見知らぬ少年』(1978)、『ロドリゲス島への旅』(1986)、『ル・クレジオ、映画を語る』(2007)などがある。
2008年、ノーベル文学賞受賞。

中地義和(なかじ・よしかず)
1952年、和歌山県生まれ。東京大学教養学科卒業。パリ第三大学博士。現在、東京大学大学院人文社会系研究科・文学部教授。専攻はフランス近代文学、とくに詩。著書に、『ランボー 精霊と道化のあいだ』(青土社)、『ランボー 自画像の詩学』(岩波書店)など。訳書に『ランボー全集』(共編訳、青土社)、J・M・G・ル・クレジオ『ロドリゲス島への旅』(朝日出版社)、『黄金探索者』(新潮社/河出書房新社)、『ル・クレジオ、映画を語る』(河出書房新社)、『隔離の島』(筑摩書房)など。