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海の光のクレア

【内容】
七歳の誕生日の夜、煌々と輝く満月の中、父の漁師小屋から消えた少女クレアは、どこへ行ったのか――。
海辺の村のある一日の風景から、その土地に生きる人びとの記憶を織物のように描き出す。全米が注目するハイチ系気鋭女性作家による、最新にして最良の長篇小説。

 クレアの母親は、お産で亡くなります。そしてクレアが七歳のとき、彼女によりよい人生を与えたいと望んでいる漁師の父親は、彼女を育ててもらうために他の人のもとにやるべきか否かという、悲痛な決断に直面します。(…)クレアは、ハイチにある小さな町で、この本のなかに収まっているある一晩に、自分の運命が決定される時に向かって進んでいくなかで多くの人びとの生活と人生を垣間見、関わっていきます(…)。本書は、難しい選択についての物語です。そして、家族の話です――生まれ持った家族と、選び取った家族と。また、コミュニティの物語でもあります。クレアだけではなく、ある一つの村の話なのです。そしてそれは、遠く離れたどこかの村ではなく、私たち全員の内にある村、私たちの喜びと痛みのすべてが、次に来る世代の人びとの記憶のなかに留まり続ける村なのです。――「日本の読者への手紙」より

エドウィージ・ダンティカ(Edwidge Danticat)
1969年ハイチ生まれ。12歳のときニューヨークへ移住、ブルックリンのハイチ系アメリカ人コミュニティに暮らす。バーナード女子大学卒業、ブラウン大学大学院修了。94年、修士論文として書いた小説『息吹、まなざし、記憶(Breath, Eyes, Memory)』でデビュー。少女時代の記憶に光を当てながら、歴史に翻弄されるハイチの人びとの暮らしや、苛酷な条件のもとで生き抜く女たちの心理を、リリカルで静謐な文体で描き出し、デビュー当時から大きな注目を集める。95年、短編集『クリック? クラック!(Krik? Krak!)』で全米図書賞最終候補、98年、『骨狩りのとき(The Farming of Bones)』で米国図書賞(アメリカン・ブックアワード)受賞、2007年、『愛するものたちへ、別れのとき(Brother, I'm Dying)』で全米批評家協会賞受賞。邦訳に、『地震以前の私たち、地震以後の私たち──それぞれの記憶よ、語れ』、『骨狩りのとき』、『愛するものたちへ、別れのとき』(以上佐川愛子訳、作品社)、『アフター・ザ・ダンス』(くぼたのぞみ訳、現代企画室)、『クリック? クラック!』(山本伸訳、五月書房)、『息吹、まなざし、記憶』(玉木幸子訳、DHC)、「葬送歌手」(立花英裕、星埜守之編『月光浴──ハイチ短篇集』所収、国書刊行会)など。

佐川愛子(さがわ・あいこ)
1948年生まれ。女子栄養大学教授。共著書に松本昇、大崎ふみ子、行方均、高橋明子編『神の残した黒い穴を見つめて』(音羽書房鶴見書店)、三島淑臣監修『滝沢克己を語る』(春風社)、松本昇、君塚淳一、鵜殿えりか編『ハーストン、ウォーカー、モリスン──アフリカ系アメリカ人女性作家をつなぐ点と線』(南雲堂フェニックス)、風呂本惇子編『カリブの風──英語文学とその周辺』(鷹書房弓プレス)、関口功教授退任記念論文集編集委員会編『アメリカ黒人文学とその周辺』(南雲堂フェニックス)など。訳書にエドウィージ・ダンティカ『地震以前の私たち、地震以後の私たち──それぞれの記憶よ、語れ』、『骨狩りのとき』、『愛するものたちへ、別れのとき』(以上作品社)、共訳書にサンダー・L・ギルマン『「頭の良いユダヤ人」はいかにつくられたか』、フィリップ・ビューラン『ヒトラーとユダヤ人──悲劇の起源をめぐって』、デイヴィッド・コノリー『天使の博物誌』、ジョージ・スタイナー『ヒトラーの弁明──サンクリストバルへのA・Hの移送』(以上三交社)など。