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銀幕の村
フランス映画の山里巡り

【内容】
田舎町で撮影された映画の舞台を訪ね歩き、作品を紹介しながら、長閑やかな村の風景、人々との交流、そして胸に浮かぶ貧しくも心豊かな戦中/戦後の日本の姿をあたたかい筆致で綴る、詩情に富んだフランス紀行。[各地へのアクセスガイド付]

【目次】
序章 はじめての映画
第一章 草深いアンブリクールの里 『田舎司祭の日記』
第二章 デュランス川・ヴェルドン川 『禁じられた遊び』
第三章 ヴァンセンヌの森 『幸福(しあわせ)』
第四章 ピレネーの民宿にて 『バルタザールどこへ行く』
第五章 アルマニャックのワイン 『五月のミル』
第六章 プロヴァンスの山里 『プロヴァンス物語/マルセルの夏』
第七章 ランボーが帰っていく村 『太陽と月に背いて』
第八章 フラヴィニー村の母と娘 『ショコラ』
第九章 ミディ運河のふたり 『家なき子』
第十章 はるかなル・ピュイの道 『サン・ジャックへの道』

サロンの壁に、若き日の、つまりは詩人時代の黒いマントをはおったランボーの肖像画が掛けてある。シャルルビルのホテルなら、ありそうな装飾だと思った。その絵の下のソファーに、二人の若者が掛けていた。「おじゃまします」と挨拶すると、「どうぞ」と二人して声を合わせるように挨拶を返してくれた。感じのいい若者たちだと思った。(中略)サロンのおうむがまた、「私はあなたを愛しています」とつぶやいた。部屋に退【ルビ:さが】った二人の若者たちもまた「おれはおまえを愛しているよ」とささやきかわしているのではないかと想像してみた。すると、ふいにランボーとヴェルレーヌのまぼろしが立ち現われて、同じことをささやいているように聞こえた。映画で、二人が愛し合うシーンをくり返し見たせいかもしれない。(本書より)

【著者略歴】
西出真一郎(にしで・しんいちろう)
1935年、三重県生まれ。詩人。58年、三重大学教育学部卒業。以後三重県内の高等学校の国語科教諭をつとめ、96年定年退職。爾来、国内とフランスの各地に主として徒歩の旅をつづけている。詩誌「石の詩」(渡辺正也主宰)同人。
[著書]
第一詩集『四季』(近代文芸社、1991年)
第二詩集『遠い村』(名古屋丸善、1995年)
第三詩集『家族の風景』(思潮社、2006年)
『星明りの村──フランス・ロマネスク聖堂紀行』(作品社、2008年)
『木苺の村──フランス文学迷子散歩』(作品社、2010年)
『ろばのいる村──フランス里山紀行』(作品社、2012年)
[主な受賞歴]
『家族の風景』により第5回現代ポイエーシス賞。2006年。
『少年たちの四季』(30句)により第9回俳句朝日賞。2007年。