平田篤胤の神界フィールドワーク
鎌田東二
本体 2,200円
ISBN 4-87893-478-6
発行 2002.06
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【内容】
本居宣長に師事し、国家神道の礎を築いた国学者・平田篤胤。生涯に膨大な著作を残したが、その守備範囲は非常に広く、国学、神道学、言語学はもちろん、天文学にも通じ、独自の暦を作ったり、いち早く地動説を認めるなど、その博学多識ぶりは同時代において群を抜いている。その中でも、心霊研究は篤胤の中心的な課題で、天狗にさらわれて仙界生活を送ったという寅吉少年の噂を耳にするやすぐに会いに行き、聞き書きを残したり、生まれ変わりを経験したという少年についての詳細な記録を書いたり、その入れ込みようは並々ならぬもの。本書は、そうした篤胤の心霊研究・オカルト研究について、神界のフィールドワーカーを自称する宗教学者・鎌田東二が論じたもの。
【内容目次】
まえがき ――― 夢の学問
序章 鎮魂帰神法と心霊研究
第1章 古道学と霊学と民俗学
1 古道学から心霊研究へ
2 民俗学の先駆形態としての心霊研究
3 霊学の根本としての自己審神=見霊体験
第2章 平田篤胤の思想形成
1 その発端 ――― 第1期
2 真の古伝のヴィジョン ――― 第2期
3 神世文学論と幽的原理の探求 ――― 第3期から第5期への跳躍と挫折
第3章 幽界の秘密を解読する ――― 仙童寅吉の仙界通信
1 仙童寅吉との出会い
2 仙境への飛行 ――― 幻の「妣の国」へ
3 山人の種類について
4 山人の行について
5 神童寅吉の神懸り
6 神童寅吉の神楽舞
7 七生舞 ――― 仙境の楽事
8 江戸モノガタリ文化と奇童の「別世界通信」
第4章 生まれ変わりの秘密を解読する ――― 再生少年勝五郎との出会い
1 霊学とロマン主義
2 輪廻転生は存在するか?
3 勝五郎再生?
4 死後空間の遊行
5 霊の記憶と幼児心性
第5章 死と再生のはざまで ――― 臨死体験研究の先駆
1 現代の臨死体験研究
2 プラトン著『国家』の臨死体験記録「エルの物語」
第6章 言霊の秘密 ――― 音声と文字の神秘的解釈学
1 神世文字論 ――― 『古史徴』の文字論
2 宇字本不生論 ――― 『古史本辞経』の音声論
第7章 久延彦祭式と鎮魂行法
1 『密法修事部類稿』の修法
2 久延彦祭式
第8章 原宗教としての日本新道というヴィジョン ――― その世界宗教との関係
終章 平田篤胤の神界フィールドワーク
略年譜
参考文献
あとがき
【著者紹介】
鎌田東二(かまた・とうじ)1951年徳島県生まれ。京都造形芸術大学教授。著書に『翁童論』、『サルタヒコの旅』、『宮沢賢治「銀河鉄道の夜」精読』、『平田篤胤の神界フィールドワーク』(作品社)1951年徳島県生まれ。武蔵丘短期大学助教授。著書に『翁童論』『神界のフィールドワーク』『サルタヒコの旅』『宮沢賢治「銀河鉄道の夜」精読』など多数。専門の宗教学の範囲にとどまらず、猿田彦神社の「おひらきまつり」や「神戸からの祈り」「虹の祭り」などの新しい祭りの創出や各種イベントを開催。35歳の時に「魔」と出会い、直後に神主の資格を取得。1998年12月12日、一念発起して「神道ソングライター」となることを決意。昨年ファースト・アルバム『この星の光に惹かれて』をリリース。現在も各地でコンサートを開いている。