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画商のこぼれ話

【内容】
贋物・模造品の氾濫、タナ牡丹話、藁しべ長者?……
美に憑かれた人々の喜怒哀楽を画商歴30年の著者が現場の体験を通して描き切る。
銀座「おいだ美術」女性社長の初エッセイ集!


美術品に携わる人々が集うアートの森――そこでは、さまざまな色の花が咲き乱れ、それらの花や木の間を、季節を謳歌する蝉たちの歌声が、絶えることなく流れています。その活気に満ちた歌声は、まるで素晴らしい合唱を聴いているようです。
しかしよく聴いていると、蝉の声も楽しげなものばかりではありません。生存競争に打ち勝った蝉たちの高らかな勝利の歌ばかりでなく、負けた蝉の悲しい声も混じっています。欺かれ居場所を失ってしまった蝉の恨みや憎しみの声や、成功を妬み、自分たちのテリトリーから追い払おうとして、ひそかにささやきまわる声も聴こえてきます。
好景気に酔いしれ、ただただ歌に明け暮れて過ごしていた時、突然襲ってきた嵐の前に、ひとたまりもなく森から消えてしまった蝉もいます。
アートの森は外から見ているほど、華やかで楽しい場所ではありません。(本文より)